中国政府は経済成長と共産党のどちらを選ぶか?

『世界のニュース トトメス5世』

◆成長を犠牲にして治安維持

中国政府は経済成長をうながす政策を続けてきたが、経済と政府が対立する局面が出てきました。

経済成長するか、経済を阻害して政治を安定させるか、二者択一になったらどちらを選ぶのだろうか。

中国は2017年に12万8000もの「有害サイト」を閉鎖し、1000万のSNSアカウントを削除したと発表しました。

中国は2017年に、ネット上でサイト運営するには、国家の承認が必要な制度を発表し、即日実施しました。

ウェブサイト開設には直接政府の許可を得るか、2人以上のネット監査員の監査を受ける必要があり、監査員は政府が任命します。

また2017年のある日から、これも突然VPNを利用した規制回避が禁止され、中国からは外国の多くのサイトが閲覧できなくなりました。

ユーチューブ、グーグル、ツイッター、ライン、フェイスブック、そしてこのブログも中国では閲覧不能になっています。

中国ではインターネットに実名登録が必要で、掲示板に匿名で書き込むことは出来ません。(表示されなくても政府には把握される)

2016年には「インターネット安全法」が施行され、内容を一言で表すと、「ネット上のデータは中国政府の所有物であり私有財産は存在しない」となる。

中国は共産主義国なので現実世界に私有財産はなく、私有財産に見えるのはレンタル権のようなものに過ぎない。

80年代の改革解放で中国には資本主義や民主主義が生まれたように見えるが、より資本主義になるか、共産主義を守るかの選択を迫られている。

2017年に中国共産党は3200社の企業に「社内に共産党組織を設置し、経営判断は組織を優先せよ」という指示を出しました。

◆急速に失われる自由

外国企業と合弁事業を行っている大企業のほとんどが含まれていて、共産党への踏み絵を迫ったものと考えられている。

近年アリババやテンセント、ファーウェイなど中国のIT企業が世界に進出しているが、そうした企業は最初から共産党が経営に参加している。

というより中国では共産党の後ろ盾がないIT企業は無力であり、たいていは経営者が突然逮捕されたり、「行方不明」になる。

共産党が経営に参加している企業だけは、経営者が公安に逮捕されたりしないし、「事故」で経営者が消えることもない。

最近米FBIは政府機関に「中国製IT機器を使用するな」と警告したが、これらの中国企業は実のところ、共産党の構成組織でしかない。

中国の資本主義的自由は確実に制限されていて、2015年には香港の書店兼出版社の経営者ら5人が失踪した。

およそ半年後に4人が解放されて中国公安に拘束されていたのが判明し、さらに1年後にオーナーも釈放した。

香港返還時の英中条約では、香港で中国の政府機関は活動できないことになっているが、明らかに公安は香港で5人を拉致している。

だが5人は全員「自分から中国本土に行き捜査に協力した。拘束はされていない」と虚偽の証言をした。

◆秘密裏に拘束され消される人達

最後に解放された書店オーナーは解放後も共産党批判を繰り返していたが、2018年1月に再び拘束された。

同書店では共産党や中国を批判する本を出版していて、習近平や江沢民のスキャンダルも名指しで告発していた。

また香港では共産党に批判的な実業家が、滞在中のホテルから失踪していて、中国公安が拉致したとみられている。

これら一連の出来事でわかるのは、経済成長と共産党の利害が衝突したときは、成長を犠牲にしてでも自由を叩き潰す覚悟だという事です。

そのやり方は天安門広場のように戦車で学生をぺしゃんこにするのではなく、1人ずつ秘密裏に拘束して社会から消すというものです。

2015年は全土で弁護士数百人が拘束され、現在も一部は行方不明なままだが、共産党や政府は拘束した事実を否定している。

共産党に批判的なジャーナリストやカメラマンも次々に失踪しており、ホームレスの子供の写真を世界に配信したカメラマンも失踪した。

また中国を旅行中の日本人10人ほどが、スパイの疑いをかけられて拘束されており、しかもこれは中国政府が公表したものだけです。

中国で「行方不明」になったり事故でなくなった事になっている日本人が何人居るのか分からず、もしかしたら数十人や数百人が拘束されている可能性もある。

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