クローン豚を大量生産する世界最大の「クローン工場」で作られる生命と将来の科学について

日本人が技術開発の手を緩めたら、中国が世界を支配するのは時間の問題かもしれない。

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「神の領域」である生命の神秘を操作するという「クローン技術」には、技術面、倫理面で解決されていない問題が残されています。世界初のクローン羊「ドリー」が誕生して以来、賛成と反対が真っ向から対立し続けているクローン技術の世界ですが、中国で進んでいる、かつてない規模でのクローン技術の「進化」について、BBCがレポートしています。

BBC News – China cloning on an ‘industrial scale’
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-25576718

中国南部の都市、深センに位置するBGI社の研究所は、いまや世界で最大の「クローン豚工場」と呼べるものになっています。研究所に隣接する飼育エリアでは、1フロアに90頭の豚が飼育されていますが、これはすべてクローン技術で「作られた」豚です。

「クローン技術」そのものはそれほど新しいものではありませんが、ここで提起されているのは、その規模です。BGI社の施設では、1年で500頭のクローン豚が「作られて」おり、クローン技術はすでに物語のレベルではなく、本格的に大量生産の手段として用いられているのです。

飼育施設の隣は遺伝子操作の処置室になっています。処置台の上には麻酔をかけられた雌豚が横たわり、脚は青いビニール袋がかぶせられていました。

技術者はファイバースコープを豚の体内に挿入して子宮の位置を確認します。そして別の技術者は、移植用の胚盤胞が入った試験管を冷蔵庫から取り出します。これは研究施設で作られた胎芽で、人工的に豚の体内に「植え付け」られます。施術室は空調されておらず、清潔のレベルは高くありません。豚の頭の上ではハエが飛び交っています。

すべてが流れ作業の一環のように見え、海外からの取材陣が入っているにもかかわらず、それを意に介する様子はなかったとのこと。この日は2件の処置が行われており、施術全体での成功率は70から80パーセント。別の飼育場所では、生まれたばかりの子豚が母親の元で母乳を飲んでいました。これはすべてクローン技術から生まれた命であり、遺伝子操作が行われた個体なのです。

BGI社がクローン豚を作る目的の一つは、新薬の開発にあります。これらの豚は人間に非常に近い遺伝構造を持たされており、人間に対する新薬の治験の「モデル」として使われています。ある小さな豚は1歳の時点で成長が止まるように遺伝子を操作されており、また別の豚はアルツハイマー病にかかりやすくするための処置が行われています。

BGI社の建物の中では、多くの技術者が机を並べて顕微鏡をのぞき込んでいる部屋がありました。その施設では、高価な専用設備を使う代わりに、人の手で遺伝子操作を行うという「BGIイノベーション」と呼ばれる技法が用いられています。「ハンドメイド・クローニング」と呼ばれているこの技術は、従来の遺伝子操作プロセスを上回るスピードで、かつ容易に進められるように設計されている技法といいます。

責任者のYutao Du博士は、この技術を「ここは30名から50名の技術者がチームになった『クローン工場』と言える施設で、クローンを大規模に行うことが可能です」と説明します。SF小説の中に登場する「クローン工場」という言葉が、元は靴工場だったこの施設で現実に使われ、さらに新しい産業として成り立とうとしています。

BGI社は、世界最大のクローン工場というだけではなく、世界最大の遺伝子配列解析センターでもあります。隣接する施設で稼動する冷蔵庫大の「遺伝子シーケンサー」と呼ばれる機器が、生命の源になるコードをバラバラにして解読を行っています。

その規模は、従来をはるかに凌駕するもの。ヨーロッパ最大の遺伝子解析施設であるサンガー研究所が導入している遺伝子シーケンサーの数が30台であるのに対して、BGI社は156台の機器を導入し、さらにその機器メーカーを買収するにいたっています。また、イギリスで立ち上げられたプロジェクトでは、1万人のヒトゲノムを解読することを目指しているのに対し、BGIは100万人、動物100万体、そして植物100万体のDNA解読を目指しているといいます。

BGI社の幹部であるWang Jun氏は同社の研究内容について「ヘルスケアや、よりおいしい食べ物を通じ、一般の人びとの生活にメリットを提供するものです」と強調し、遺伝子解読をこれまでになく早く、安く実施することの必要性を説明しています。BGI社の食堂では、通常の2倍に成長した魚や豚、そしてヨーグルトに至る多くの食材が実際に提供されています。

解読対象の選定基準について、Wang氏からは3つの驚くべき回答が返ってきました。「『おいしい』と感じたものは、すべて解読されるべきです。何がおいしさの源になっているのかを知るべきです。次に、人びとのヘルスケアに関する分野です。そして、『可愛らしい』と感じるものも対象になります。パンダやホッキョクグマ、ペンギンなどのかわいい動物はすべて解読されるべきです。素晴らしい生き物たちをデジタル化するようなものです」

「自然物をコントロールする力を持つことに対してどう感じるか」という質問に対し、Wang氏は即座に「自然をフォローしているのです。世界には飢餓で亡くなる人が多くいます。そのような問題を解決するためにBGIでは、たとえば米が種として秘めている潜在的な可能性を引き出そうとしているのです」と反論したそうです。

中国は、科学の分野でも世界の巨人になる道のりを突き進んでいます。「月に到達した月面ロボット、世界最速のスーパーコンピュータ、そしてBGI社が進める試みは、産業界を軸とする基準が将来の科学に何をもたらすかを教えてくれるでしょう」とレポートは締めくくられています。

 

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