看過できない中国の「台湾=中国領」宣伝の浸透とそのお先棒をかつぐ教育界

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 昨年末、ある集会に参加して、台湾の地位について誤解が広まっていることに驚かされた。中学生くらいの子供たちから70歳前後の人たちまで、男女約100人の参加者に筆者が尋ねてみたところ、8割近い人たちが「台湾は中華人民共和国(以下・中国)の領土の一部」という選択肢に手を挙げたのだ。

こんな質問をしたのも、20日(日本時間21日未明)に米国大統領に就任するトランプ氏が、「『一つの中国』原則」の見直しに言及しているからである。なぜ誤解、いや「台湾は中国の領土」という中国の一方的宣伝が浸透しているのか考えてみたい。

確かに、日本や米国の台中関係政策自体、曖昧で分かりにくい。中国との関係修復、国交回復当時の合意文書にそれが表れている。1972年2月の上海コミュニケで米国は、「台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している」としている。

日中国交回復時の「日中共同声明」(1972年9月)は、「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し(以下略)」とする。

「認識する」「十分理解し、尊重する」という言葉で、「台湾は中国の領土の一部」とは認めないという一線は守ってはいるが、その微妙さを理解できる人がどれほどいるだろう。

この分かりにくさが、「一つの中国」問題を報じるメディアの曖昧な表現になり、誤解を生む一因になっているように思える。トランプ氏が昨年12月、「(一つの中国に)なぜわれわれが縛られなければならないのか」と発言して以降、新聞各紙は「『一つの中国』原則」に、「台湾は中国の一部とする」「(中国が)台湾を自国の一部とみなす」といった説明を付けるなどしているが、検討の余地はありそうだ。

メディアでいえば、NHKがしばしば放送で使う「中国本土」という表現は影響が大きい。例えば昨年9月14日夜の天気ニュースは、「台風14号は、台湾南部を暴風域に巻き込みながら中国本土に近づいて…」とした。「本土」といわれると、台湾は中国の「離島」だと錯覚してしまう。

「中国本土」を意図的に用いているとすれば悪質だし、意図的でないなら、中国の宣伝工作に日本の公共放送が洗脳されている証左である。

日本人を洗脳している最大の「先兵」は、教科書業界だろう。中学校や高校で使われている国の検定済み地図帳が、台湾は「中国の領土の一部」だと、読み取れる表記をしているのだ。平成28年発行の高校用「新詳高等地図」(帝国書院)や「新高等地図」(東京書籍)を見ると、世界地図では中国と台湾が同じ色で示され、中国の国境線は台湾の東側(台湾から見て中国大陸と反対側)に引かれている。

教科書業界の「地金」が見える表記はまだある。上記地図帳の詳細地図では、国名は赤字で表記されている。「日本国」「中華人民共和国」は赤字表記だ。これに対して、「台湾」の名称は黒字表記である。この違いは、日本政府が台湾を、国交がなく国家として承認していない「地域」として位置付けているからだと理解できる。

しかし、同じく「地域」であるはずの北朝鮮が、なぜか赤字で「国名表記」されているのだ。しかもご丁寧に、最近は耳目に触れることがなくなった「朝鮮民主主義人民共和国」の文字が躍っている。

「さすが教育界。いまだに媚中・媚朝の容共リベラル臭がぷんぷんする」と笑っている場合ではない。トランプ新政権の出方によっては、台湾情勢の急変もあり得る。中国の洗脳にやられていて大丈夫なのか。読者の方々も、周囲に台湾の地位について尋ねてみていただきたい。

(大阪正論調査室長 小島新一)

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